Sunday, March 24, 2013

クラシック入門第4回「喜びの島」史上最強の浮気男ドビュッシーも子供が生まれたらただの親バカに

「冒頭から小舟のオールを漕ぐ様子が伝わってくるような写実的な一面を持ちながらも恋に我を忘れている心情も豊かに描写されている…」

この「喜びの島」はモーリス・ラヴェルと共に20世紀初頭に興った印象派の中心的な人物の一人、クロード・ドビュッシーによって1904年に作曲されました。


この曲はドビュッシーが恋人のエンマ・バルダックという女性と訪れたジャージー島という場所で作曲されたもので、恋をする喜びが素直に表された名曲です。漫画「のだめカンタビーレ」でも「恋しちゃってルンルン」な曲として主人公のだめがコンクールで演奏していたのは記憶に新しいと思います。

こんな素晴らしい曲を作曲したんだもの、きっと素敵な人だったに違いないワァ…と読者の皆さん方は思われることでしょう。ところがどっこい、ドビュッシーはこれ以上ないほどのダメ男、史上最強の浮気男だったのです!!

史上最強の浮気男クロード・ドビュッシー
確かに若干イケメン風である

先ほどこの「喜びの島」は恋人のエンマと訪れた島で作曲されたと書きましたが、旅行なんてほのぼのとしたものではなく、実は「駆け落ち」した先で作曲されたものなのでした。

「恋人のエンマ」というのも厳密には誤りで、なんとこのエンマ、ドビュッシーがピアノを教えていた生徒の母親というまさかの不倫劇。挙句の果てにこの時ドビュッシーもマリー・テクシエ、通称リリーと呼ばれていた女性と結婚していたので、まさに「ダブル不倫」素敵な音楽も急に昼ドラの様相を呈してきます。

このリリーさん、一時はドビュッシーの作曲したノクターンに「この楽譜は私の愛しいリリー・リロに献呈する」とまで書かれていたのに、ドビュッシーに浮気されたショックでこの後拳銃自殺を図ります。リリーは一命は取り留めたものの結局二人の中は続かず、ドビュッシーは不倫相手エンマと晴れて(?)結ばれました。

そしてその後ドビュッシーは「喜びの島」の草稿にいけしゃあしゃあと「この小節はこれを書き取らせてくれた私の可愛いバルダック夫人によるものです」、つまり「エンマちゃんとチョメチョメしちゃったからその時の気持ちよさを表現したよ☆」と書き綴ったのでした…。



ドビュッシー、マジで人間のクズだな…!!


人間のクズ、ドビュッシーですがなんとエンマは3人目の奥さん、拳銃自殺を図ったリリーの前にもガビュリエル・デュポン、通称ガビーと呼ばれる女性と結婚していました。このガビーさん、緑の目をした金髪の大変美しい女性だったそうで、ドビュッシー作曲のかの有名な前奏曲第一巻第八番「亜麻色の髪の乙女」のモチーフになったとも言われています。

 

そんなガビーですが、やっぱり昔から浮気症なドビュッシー、彼の度重なる浮気に心を病み彼女もまた拳銃自殺を図ります。ドビュッシー、もうまさにキング・オブ・クズ…!!

なんだか複雑になってきたので簡単にまとめてみましょう。


ドビュッシー、20歳頃からガビーと付き合い始める。
彼女をモチーフに亜麻色の髪の乙女を作曲。
30歳になるころから浮気が激しくなりガビー拳銃自殺未遂。
      ↓
ガビーと別れてリリーと結婚。
ノクターンを作曲し彼女に献呈する。
エンマと浮気しショックのあまりリリー拳銃自殺未遂。
      ↓
リリーを捨ててエンマと逃避行し後に結婚。
喜びの島を作曲し「チョメチョメ」の気持ちよさを楽譜に書き綴る。


もう、お前、いっぺん死んでまえ!!!!!


浮気に次ぐ浮気、のだめでいうところの菊池くんポジションのドビュッシーですが、今までの浮名はなんだったのか、エンマとの結婚後生まれた初めての一人娘クロード=エマ、通称シュシュを溺愛し、まだ3歳になったばかりの娘に「ゴリウォーグのケークウォーク」で有名な計6曲からなる「子供の領分」を献呈します。


度重なる浮気で友人も離れ親族からの支援も絶たれてしまいエンマとの生活はかなり困窮し最終的には破局を迎えるのですが、それでもドビュッシーのシュシュへの愛情は一生涯続いたのでした。そうです、史上最悪のダメ男も子供が出来たら変わってしまうのです。そう、まさにあの極悪非道のダース・ベイダーが最後に息子にあって改心したかのように!!(ちょっと違う)

いかがだったでしょうか。女性陣は読んでてドビュッシーに対する憎悪感が募ったかもしれませんが、音楽の才能はまさに超一流、今回紹介した「喜びの島」以外にも「月の光」を始めとした「ベルガマスク組曲」や印象主義音楽の手法を確立した「版画」など数多くの作品を残しています。

もっとドビュッシーの作品を聴いてみたい方はハンガリーの三羽鳥と呼ばれた名ピアニスト、ゾルタン・コチシュのドビュッシー作品集をオススメします。彼の「喜びの島」は冒頭の船のオールを漕いでいるかのようなテンポ感、透き通った音、そして卓越した技巧、どれをとても素晴らしいぼくのお気に入りの演奏の一つです。「喜びの島」以外にも「子供の領分」、「ベルガマスク組曲」、「版画」などの代表作が収録されているのでドビュッシー入門にはもってこいだと思います。


次回は趣向を変えてピアノとオーケストラの共演、前作品の酷評による神経衰弱を乗り越えて作曲されたラフマニノフピアノ協奏曲第二番を紹介します。それでは、すてい・ちゅ〜んど☆

3 comments:

  1. 久しぶり^^さのしゅんです!
    初めてブログ読みます!ドビュッシーの意外な素顔知れて、とてもおもしろかったです笑
    そういえば音楽から離れて画家でいえば、ピカソも女癖は悪かったね。芸術家はそういう人多いのかな^^笑

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    1. おおお、さのしゅん、久しぶり!!そう、ブログ、細々と続けているのですよ〜☆

      ドビュッシーはホント、音楽の才能なかったら人間のクズだからね〜(笑)芸術家にそういう人が多く感じるのは彼らが自分の感情に正直だからなような気がするね芸術家さのしゅんもお気をつけて…(笑)

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  2. 男からすると・・芸術家で、フランス人ってだけで、いかにもって感じかな。
    そんな人だから、官能的な曲を書けるのでしょうし。
    プレリュード1巻のNo.2は「女体をイメージ」があるそうですし。
    ダメ男はむしろ性欲少ない現在の草食性男子でしょう。 それじゃあ、官能的な演奏も無理だし、少子化の歯止めもきかないでしょう。
    いわゆる日本人的に良い人というのは、芸術には向いてないですね。
    倫理的にきわどい位の人のほうが、面白い作品が生まれます。

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