今年もよろしくおねがいします。
さて、新年の挨拶といえば「明けましておめでとうございます」ですが、最近は年賀状などで "A Happy New Year!" と書かれているのを見たことがあると思います。
実はこの英語、間違いなのです。正しくは "Happy New Year!" となります。
文法的に説明すれば次のようになります。
"Happy New Year!" は単体で間投詞として扱われるので冠詞を必要としない。
…よく分かりませんね。簡単に説明してみましょう。
「おはよう」という言い回しについて考えてみましょう。
「おはよう」は「挨拶」です。英語に訳すともちろん "Good morning." になります。当然文頭に冠詞の a や the は入りませんよね。
同じように「明けましておめでとうございます」も「挨拶」です。従って文頭に a などの冠詞は不要で "Happy New Year!" となるわけです。
基本的に話はこれで終わりなのですが、もうちょっと難しい話をしてみましょう。挨拶である "Happy New Year!" とは違って "I wish you a happy new year." などの表現の場合は冠詞 a が必要となります。
これは、 I wish you ... で「あなたに…を祈っていますよ」という意味を表しており、「…」の部分に入るのは単なる「名詞」だからです。
「挨拶」ではなく「名詞」として happy new year という単語を用いる場合は、year が可算名詞であることから原則として冠詞(あるいは所有格)を伴わなければなりません。
従って "I wish you happy new year." ではなく "I wish you a happy new year." としなければならないのです。これは "I wish you a merry christmas." なども同様です。
恐らく日常生活には余り役に立たないと思いますが、ちょっと英文法に興味のある人向け。
"A Happy New Year!" について、少し考えてみると当然次のような疑問が浮かんできます。
"A Happy New Year!" は誤用というが、 "I wish you a happy new year!" の省略形とは考えられないか。
結論から言ってしまうと、「文法的には可能であるが、不自然さが拭えない」と思います。
確かに "A Happy New Year!" を "I wish you a happy new year!" の省略と捉えることは文法的には可能でしょう。
ただ、 "A Happy New Year!" と言った場合、唐突に新情報である a happy new year が登場するので、なんとなく日本語で「(とある)喜ばしい新年!」と言われた時と同じようなムズムズとした感じを覚えます。
聞き手からしたら「で、その喜ばしい新年とやらが一体何なのだ?」と思うか、「ああ、こいつ本当は "I wish you a happy new year." と言いたかったのだろうな…」と哀れみの眼差しを投げつけるかのいずれかになるでしょう(私はあからさまに後者です)
一応 "A Happy New Year to you!" (喜び溢れる新年があなたに訪れますように)や "A Happy New Year to everyone present at this conference!" (喜びに満ちあふれた新年をこの会議に出席された皆さんが送れますように)などのようにして突然として現れた謎の a happy new year を後からちゃんと説明してあげれば多少は不自然さも薄れるのでしょうが、単体で使ってしまうと新情報が突如出現する違和感をどうしても拭うことができません。
結局のところ "A Happy New Year!" を単体で使うのは避けたほうが無難でしょうね。ささやかではありますがこの日本から誤った英語が少しでも減ってくれれば嬉しいです。
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